おばちゃんの名前はアンパロ。
彼女の家は、ベレン市場の次の筋の屋台通りを抜けて、川辺へと続く階段を少し下った所に在った。
「コチラデス」と案内された家は、想像してたのよりボロっちかったな。
うーん ここに住めるかなぁ・・・えらい所に来ちまったかも・・・・
第一印象はそんな感じだった。
まずは、アンパロの部屋に荷物を置きます。
このベッドを使って下さい と言って、シーツと枕カバーを変えてくれた。
アンパロは、お母さんの部屋で眠るからと言って、自分の部屋を私にあけ渡してくれました。
快適な眠りにつける清潔なベッドと、個室を与えられて、なんだかホッとしました。
いつも、行き当たりばったり作戦の私だけど、こんな風に人の家に転がり込むとは、思いもしなかったな。
そんな居候生活がどんなだったか?
特にナニをするということもなく、あっという間に10日が経ちました。
まるで、自分家に居るような気分で、悠々と過ごしていました。
アンパロはいつも、私に快適な一日を、そして、最高のイキトスデイズをあげようとしてくれていた。
朝起きると、朝ごはんを出してくれ、昼も夜も、適当な時間になると、「ゴハンタベル~」と声をかけてくれる。
この滞在中のほとんど全てのご飯はご馳走になりました。
それでいいのか?と自問するも、答えは分からないまま、頂き続けた。
そして、
なにもかも、すっかりお世話になりながら、私はしばしばアンパロに苛立ちを覚えるようになってしまった。
申し訳なくも思うけど、感じるものは仕様がないのだ・・・・
その感情を、言葉で伝えることもできず、笑顔の奥に、そっと隠したつもりだったけど、アンパロは気づいていただろうか?
それはどうか分からないけど、彼女は、いつも変わらず最高の一日を私にくれた。
アンパロだけじゃなく、家族みんな。どうしてそんなに?と思うくらいみんな優しかったんだ。
昨日今日に出会ったとは思えない親しみを感じます。突然やって来た私をこんなにも温かく受け入れてくれるなんて、感動を覚えます。
仕事と遊びで大忙しで、家であんまり見かけなかったけど、やたらめったら自分の物を私にあげようとするロサ(イッペリオの娘) いらない、いらない、って断ってはいたけど、ビーズの指輪とミサンガと口紅を貰っちゃった。あなたの顔は甘いから、すぐに恋人ができるよ、って励ましてくれるんだよね~。スイート、チュチュチュ!!ってからかいながら、いつも出かけて行ったんだな。
お料理上手なお母さん マミーのごはんはホント美味しかったな。75歳らしいんだけど、若くてびっくり。アンパロと姉妹だと思ったくらい。
弟のラウル。早朝から、大音量で音楽流してる。まだ6時前じゃん・・・・って日もあったなぁ。そんで、いつも気持ちよさげに歌ってた。DVDを一緒に見よう!!ってジャッキーチェンの同じ映画を2回も見せてくれた。日本人だから、ジャッキーチェンをっていう彼の優しさなんだな。
仲良し兄妹(ラウルの子ども)ネイとニリッサ。よく一緒に遊んでくれた。グリチっていう、果汁を凍らせたヨーグルト風味の甘いおやつを、私の分までいつも買ってくれたんだよね。 これ日本語でなんていうの?ってデスチャーされて、「口臭い」って教えたら、やたらめったら、「クチクサイ」って言って笑ってんの。
ホントに楽しい毎日でした。
そして、旅立ちの日。
アンパロ家族は、ずっと居ればいいのに・・・今度は、いつ来るの?って言ってくれる。
お金のことは一切口にしないのね・・・。
宿代も食費についても、何も言わないで、ただただ気持ちよく、惜しみなく与えてくれたのだ。
私の理解を超えてるよ。
金持ちだとはとても思えないけど、とても豊かな人たちだな。
私は、お金をいくらか置いていくべきか・・・ずっと考えていた。
いろいろ考えたけど、お金は渡さないことに決めた。
彼らに頂いたものは、代金では支払わないでおこう・・・・と考えたんだ。
私は、そっくりそのまま、その愛を受け取って行こう・・・・と。
私も、おなじように、いつか、誰かに、この愛を渡せればいいなって。
お礼には、DVD2枚と、パーティー用みたいなでっかいパンケーキをひとつ。家族のみなさんに。
アンパロには、日本で買っておいた浮世絵の手ぬぐいをプレゼントした。
それで、ホントに良かったのかどうか・・・分からないけどね。
この出会いがなんだったのか、今はまだよく分からないけど、
彼等と過ごした日々は、時と共に、私の心に、体に、染み渡っていくことでしょう。
そして、ありがとうじゃ伝えきれない想いを実現させていけたらいいな、と思うのです。
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